女子選手に体力的トレーニングは必要か?

2004/12/19

text/ M. Uchitani

 

質問にお答えします。

 

Q 女子選手でも体力トレーニングは必要でしょうか?

 ラクロスの競技(スティックを持ち行う練習や試合)以外に特別に体力的なトレーニングが必要か必要でないかはコーチ(指導的立場にいる人)のフィロソフィー(哲学、考え方)によるところが大きいと思います。ほとんどの選手が大学から競技を始める現状を考えれば、体力的なトレーニングを行う時間をとるより、技術的・戦術的なトレーニングに時間を割く方がスキル向上には繋がると思います。したがって、コーチが必要でないと思えば必要ないのでしょう。

 

これらは男子でも女子でも同じことです。しかしながら私の印象では、日本の大学女子ラクロス選手の場合、他のメジャースポーツの同じディビジョンの選手と比べると明らかに体力的要素が低いと感じています。このレベルでは「試合で勝つ為の」うんぬんというより、現状では練習を安全に怪我せず行えるレベルではないです。このような状態で激しい練習や試合に取り組むことはシートベルトなしで運転するようなものです。コーチの責任として安全に練習や試合に取り組めるようにするためには必然的に体力的なトレーニングが必要となるでしょう。

 

私は体力的要素の不足が原因で引き起こされる傷害はコーチの責任が大きいと考えています。大腿部前面と後面の筋力のアンバランスは膝の重大な怪我につながります。足関節の不安定性は足関節の捻挫につながります。大腿部の柔軟性の欠如は肉離れにつながります。腹筋の筋力不足は腰痛につながります。持久力の不足は高強度の練習を行えません・・・などなど。すべては「可能性」ですが、予想しうる傷害に関してはあらかじめ予防のために筋力、持久力、スピード、柔軟性、コーディネーション、フォームなどを改善させておくことで未然に防ぐことができます。まずはそのような要素のうち基礎的な能力を獲得する必要があります。

 

さらにラクロスの競技特異的な体力を向上させることで、ディフェンスを簡単に抜き去るスピード、オフェンスを執拗にマークできる持久力、ファールしないチェッキング、ゴーリーのスティックも吹き飛ばすシュート・・・などを得ることが可能なわけです。
 まずは自分の体力レベルを知り、改善しなければならない能力や強化すべき部位を明らかにし体力的なトレーニングに取り組むことが重要です。