Coaching Phylosophy

 コーチがどのようなフィロソフィー(哲学)を持ち活動を行うかはコーチングの基盤である。明確なフィロソフィーを持っていないと考える人でも、様々な場面において、自分の「考え方」に基づき判断、行動しているはずである。長期計画、短期計画、方針、リクルーティング、戦略、戦術、練習、試合、メンバーの決定・・・コーチはチームのあらゆる局面において決断しなければならない。それらの決断の際には必ずフィロソフィーが影響する。

 コーチは目的地を明確にしそこへ導くことが重要であり、その為には強いリーダーシップが必要である。経営学者であり経営コンサルタントのDrucker は、組織のリーダーシップについて、

 

効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。もちろん妥協することもある。リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。

 

と述べている。競技スポーツのチームにおいても同様の事が言える。チームの使命は何なのか?そのチームにおけるコーチの使命は何なのか? 

 スポーツ指導の主な目的をMartens(1990)は、(1)チームを勝たせること(2)選手がゲームを楽しめること(3)スポーツを通じて選手の身体的、心理的、社会的に成長するのを助けること、と定義している。とは言うものの、コーチングするチームあるいは個人がどのようなレベルであるかや、チームの目的によってコーチが果たす役割は違うため選手の発達段階、競技レベルに応じて指導の目的を明確にし、その目的を達成するための指導内容を決定する必要がある。

 学生ラクロスのチームにおいて、しばしば問題になるのが、「勝つチーム」を作るのか「楽しみを共有するチーム」を作るのかということである。もちろんこのように簡単に分類できるわけではないと思うが、前述したように、そのチームにおいての使命は何か、目標は何か、どのような優先順位かなどコーチ(リーダー的立場の人)はそれらを定義し共通の認識を作り出すことが重要ではないだろうか。