Sport Injury

 ラクロスは激しいボディコンタクトやスティックによる接触があるコリジョン(衝突を伴う)スポーツであるため、外傷の多いスポーツの一つである。2001年のNCAAの調査(資料室を参照)によると、試合における外傷では部位別にみてみると足関節、大腿、膝の順で、外傷別では、捻挫、打撲、肉離れの順で多く発生していた。

女子ラクロスでは、男子ラクロスのような激しいボディコンタクトはルール上許されていない。しかし、女子ラクロスもまた傷害の多いスポーツの一つである。女子ラクロスのフィールドプレーヤーは防具をつけない。アイガードを装着するプレーヤーはいるものの、義務付けられているのはマウスガードのみである。したがって顔面や頭部への外傷も多い。

 日本では大学からラクロスを始めるケースがほとんどである為、他のメジャースポーツと比べると体力的レベルや技術の習熟度は低い。その中には、いままで本格的に競技スポーツを行ってこなかったプレーヤーも多く存在するのが現状である。したがって、競技(ラクロス)特異的というよりも、いままで本格的にスポーツを行ってこなかった人が、急にスポーツを始めた為に引き起こされた傷害も多く含まれる。

ラクロスに関わるコーチやスタッフそしてプレーヤーはそれらの傷害に対応、予防できるような知識と技術が必要である。特に指導者(コーチなど)は、発生した傷害を最初に見ることが多い為、指導者の判断が傷害のその後を左右してしまうことがある。
傷害が起こってからの対応は当然であるが、それらの傷害が起こらないように、傷害予防の為の対策をチームのプログラムに加える必要がある。

 スポーツの盛んなアメリカの大学では、スポーツドクターをはじめ、アスリートの健康と安全に関わる領域のスペシャリストであるアスレティックトレーナーやストレングストレーニングおよびコンディショニングプログラムを計画・実施することのできるスペシャリストであるストレングス&コンディショニングコーチ、さらに各種専門家がアスリートをサポートしている。残念ながら、日本のほとんどの大学ではそのようなサポートを受けれる環境にはない。したがって、そのような専門家が大学に常駐していなくても、外部の専門家や医療機関などからのサポートを受け傷害を予防できる、また復帰できる「システム」を構築する必要がある。